昨日は義理兄である安井聡太郎氏(子ども建築デザインネットワーク )設計の、名古屋市内の保育園園庭にあったサクラに、次なる命を与える仕事。
50年間、園児たち、先生たち、地域を見守ってきたソメイヨシノだった。園の拡張工事に伴い、伐採されることになり、その伐採作業を依頼された。人のココロに寄り添う設計をする安井氏から園に対して、「このサクラをキッチリ使いましょう」と提案がされて、園長も当然、OKを出した。地に足が着いたストーリー。それを実際にどう使うか、打合せを重ねた。
当日の伐採は、相棒中條さんと二人で伐った。園の敷地角、フェンス、電線など支障もあった。樹上作業で枝を落とし、綱株の無い街中の伐採なので、ユニックで牽引しながら、ピンポイントで倒す伐採になった。園児や先生たちが見守る中、狙った場所に倒した。
素直に真っ直ぐな部分の無いサクラだった。構造材にはならないので、厚めの板に挽いて、目を見てから使用場所を決める。代わりの無い材だったので、挽くのは気を使ったし、元の一番太い部分では70cmあった。木挽きとしてもやりがいのある仕事だった。太い枝はもちろん、炭にする。木酢液も採って、それは園に差し上げようと思う。
枝部分は余すところなく使いたい。子供たちに喜ばれ、一人ずつに形で残したい。そこで、グリーンウッドワーク協会の名和さんに相談してみた。すぐに反応してもらって、園児たちに対し、ワークショップ形式で色鉛筆を作る事を企画。昨日名和さんは道具を持って加塩の工場まで来てくれた。生の木を使って、ナイフワークで木を削って仕上げてゆく工程に、以前は??って思ってた。仕事柄、木をキレイに乾燥させて、美しく(割れや反りを無く)使う事ばかり考えていたからだ。
名和さんから説明を受けて、なるほどと思った。これはこれで有りだ。轆轤を使った木地は昔からあった。
ナイフや小刀を使うには、乾いていない生の木の方が圧倒的に作業しやすい。
実際に僕も作ってみた。思っていたよりも、上手くできた。削り馬やクラフトナイフが欲しくなった。
この色鉛筆の作り方は、基本的にグリーンウッドワーク協会のコンテンツなので、興味のある人は問い合わせてみて下さい。僕の引き出しに入ったスキルではあるけど、それを勝手に公表したり、仕事に使う事は考えていない。
共感した部分として、僕は一本の木を伐ったら、余すところなく使う。それが、木に対する礼儀だと思っている。木こりとして、木の命を絶った事に対するケジメが、ちゃんと使う事だと考えるからだ。
炭やきの修行をしている時、伐ったら枝先まで全部使えと、銀治先生から指導された。
幹は割って炭の原木、枝も手首の太さまでは炭に、指の太さまでは上木(あげき)に、更に細い枝や葉っぱは焚き付けに。それが炭やきの美学だと。今でもそれは実践している。特に広葉樹は葉っぱまで使うようにしている。
針葉樹は、枝葉は基本的に山に置いて、土に還す。
ただ、僕の理想としては、枝葉も鋸粉も使いたい。
実際、僕はできるだけ工場へ持って帰り、窯の焚き付け、家の薪ボイラーの燃料、薪ストーブの燃料として、木っ端も製材コアも全て使い切る。
そんな思想が緩くシンクロしているような気がした。
単独でも、生の広葉樹を使ったグリーンウッドワークのワークショップは開催できます。その時は、名和さんに講師として来て頂こうと思ってる。
作品を作ることが目的ではなく、木を使う事を知ってもらう事が大切なことなんだ。