夢の途中。子供のころからあこがれていた生き方に、ちょっと近づいている。
山の恵みを必要なだけいただき、それを糧に地味に生きること。
活動家たちの浮かれた様子を横目に、僕は山に向かう。彼ら活動家の目的は「地域のため」とか、「世直し」とか言ってるけれど、結局は自分たちが有名になること。目標は自分たちの活動の成功であって、地域が元気になるとか、農家を救うとか言ってもそれは、彼らの実績作りの道具でしかない。ただのアイテムなんだ。事業をやって、実績が無いと困るから関係者を煽る。派手さとスピードと量を求めてくる。そもそも、彼らが勝手に始めたことなのに。地元住民は頼んでもいないことで急かされる。中には地元に根付くプロジェクトもある。そのポイントは、地元の人たちがやる気になり、主体となり、活動家がフェードアウトしていなくなっても、関係なく粛々と続くことだと、強く思う。彼ら活動家のミッションは、外から新鮮な考えを入れること。きっかけを与えて、動き始めたら静かに去るべきだ。実績が欲しいからいつまでもしがみつく。すごくかっこ悪い。自分たちがいないとプロジェクトが動かないと勘違いしている。本当に地域のためになっているプロジェクトなら、ゆっくりでもちゃんと動くものだと思う。
僕はこの地に永住しようと思っている。彼ら活動家とは覚悟が違う。彼らは外からやってきて、大騒ぎして田舎のおじさんやおばさんを巻き込む。数年で飽きて、また違う土地へ入り込む。そして、同じことを繰り返す。たいていの場合、補助金の出入りと共に動く。あまりの無礼さに地元から弾かれることもある。彼らが去ったあと、静けさと空しさが残る。結局、何の役にも立たないことが多い。
彼らとは距離を置いている僕はこの地で幸せに暮らしている。逆に、彼らと深く関わっていると、僕がここで暮らすのにマイナスになる。
僕の仕事相手は地球だし、僕にそれを教えてくれるのは地元の人たちや同じ思いを持った仲間たちだ。その中にはよそ者もいる(僕自身がよそ者だ)。でも、みんな地に足が着いている。
明日は集落組長としてのお役がある。僕はそれを誇りを持ってやろうと思う。
