昨日は旧旭町管内(豊田市役所旭支所管轄)の定住委員会だった。定住委員とは、各自治区(5自治区)から二人ずつ選任された定住委員が集まり、移住定住について、支所を交えて進めようという組織だ。
去年度、僕はそこの副委員長を拝命していた。
今年度は、会長としての任務を頂いた。
昨日、その選任がされ、そのまま会長として会議を行った。他のメンバーは大先輩ばかり。そして、「ヨソモノ」は僕だけだ。
この地へ移住して15年。「移住者」として、「地域のおっさん」として、両方の立場がわかる人間であると言う事だ。
僕が住む自治区(敷島自治区)では、「定住促進部」があり、僕は数年前から部長をしている。旭地区定住委員と定住促進部部長は兼任すると決まっている。
できる範囲で頑張ってみるつもり。同じ自治区の定住委員は定住促進部副部長の啓佑だ。
「定住委員会」の後は、続いて「定住担当連絡会」だった。各自治区の二人ずつの「定住委員」をバックアップする形で、各町に一人ずつの「定住担当」が配置される。その全体会議だ。当然、僕はそこでも会長として仕事をする事になる。
「会長」って、かなりの重要な立場だ。真面目に取り組むつもりだ。
無報酬なので、これこそが「仕事」だ。
夕べの会議はせっかく、各自治区から定住に関して選ばれた人たちが数十人も集まっているので、敷島自治区での取り組みの一つである、「地域面談ガイドライン策定」について話をさせてもらった。旭地区では5自治区あって、それぞれが独自で「部」を持ち、自治区民のために働いている。
「定住促進部」があるのは、敷島自治区だけ。何だかんだ、10年以上関わってしまっている。少なからず、ノウハウや実績もある。
僕が部長になってもう、4年。部長になってからすぐに取り組んだのがこの、「ガイドライン」だ。
手始めに、自分の住む集落で作ってみた。全員が意見をくれた。「どんな人に移住してきて欲しいか?」「どんな人には移住してきて欲しくないか?」を基準に作った。
それはどう見ても、地域寄りのガイドラインで、移住希望者に対し「こちらのやり方に合わせてくれ。さもなければ、入居を認めません」が明確に表してある。賛否あるだろうけれど、村人全員で熟考した結果だ。それでいいと思っている。
厳しめの、公平な地域面談を経て、契約・入居をしてくれた人に対しては、今度は最大限のバックアップをする。おせっかいなくらいに関わる。そんな地域の人たちの想いに応えてくれる人を、「地域面談」で選ぶんだ。
人を裁き、選別する作業。すごく疲れるけど、それを乗り越えないと集落の未来に多大な影響を及ぼす。だから、一軒の物件に対して、応募が一組だとしても、合格するとは限らない。事実、僕が住む集落では、ガイドラインに従い、NGを出した事がある。その後、再び空き家情報バンクに登録し、応募してきてくれた人に「地域面談」をし、集落全員一致で合格。入居してもらった。実はその人、一つだけガイドラインに外れた項目があったんだけど、人柄の良さを考慮してOKになった。
「移住者は土地を選び、地域は人を選ぶ」を実践する。
ガイドラインがあれば、それを基準にして、公平な判断ができる。つまり、「この人は受け入れたくないなあ」と、地域の人が感じたら、ガイドラインに従って事務的に判断すればいい。最終判断は地域の感情、印象を含めて家主に委ねる。せっかくこの地を選んでくれた応募者だから、それなりに扱う。つまり、しっかりと観察させてもらう。契約できなければ、家主に家賃収入が入らなくなる。それも事前に話して、納得してもらう。
応募者 対 集落全員 の構図だけど、これを乗り越えられない者には来て欲しくない。
「移住してきて欲しい」人を考えると、物静かだけど、周りと上手くやれる人。できれば、一次産業を生業としている人、少なくとも、田んぼや畑を引き継いで頑張ってくれる人。穏やかだけど、信念を持っている人。若くてパートナーも居て、人口を増やせる人。となる。
「移住してきて欲しくない人」は、その裏返しで、うるさく騒いで、周りに気を使えない人。一日中家に籠ってパソコン仕事している人。調子いいけど、いい加減で、すぐに考えを変える人。面談で闘うような態度を取る人もNGになる。こちらは真面目に質問しているのに、ヘラヘラと持論を展開して、自分に酔っている人。定年退職後の暇つぶしで、人口を増やせない人。もNG。
それを、定住委員会で話した。定住委員会は支所主催なので、当然事前打ち合わせで支所の担当者と話をして決めた。
俯瞰で見れば、ヨソモノが会長になって、偉そうに話している構図だ。それは自分でも充分にわかっている。
行政、自治区共に過疎対策として、移住を進める事は決まっている。豊田市には空き家情報バンク制度もあり、補助金も出る。
移住者を呼びこんで、チヤホヤしてご機嫌を取るのが地域の仕事ではない。過疎対策で、地域外から移住してもらう事が目的になってはいけない。その「移住者」が、「定住者」となって地域に無くてはならない存在になる事が目的で、それが地域の「自治」に繋がる事が目標となる。それを手助けし、寄り添うのが「定住促進」だと思う。
実は、僕自身が同じ事をしてもらっている。「地域面談」では聞かれたくない事、迷っている事に対し、即答を求められた。地域の真剣さが伝わってきた。僕も真剣に対応した。その結果、契約して引っ越してきた。
するとすぐ、地域の優しさや暖かさ、少し厳しいアドバイスなど、愛に溢れた対応をしてもらったんだ。それは15年経った今でも変わらず続いている。集落が家族のような存在になっているんだ。
地域の先輩方を前に、偉そうな事を喋ってきた。ただ、それは「会長」として委員会でも取り組むように指示をするという事ではなく、あくまでも敷島自治区ではこのような取り組みをしています。という報告なんだ。
こちらが願うようには人は変わらない。リーダーが変わっても、簡単には変われない。変わる事を期待せず、淡々と伝える事が大事だと思う。それを聴いて、自分の自治区でも始めようと思ってくれる人もいるだろうし、諦めて何もしない人もいるだろう。会長だからと言って、そこまで配慮しなくてもいいと思う。前向きにやろうと思う人がやればいいんだから。
問い合わせや、文句がでたら、全速、全力で対応しようと思う。
病み上がりのカラダにはキツイ会議だったけど、行って良かった。定住促進部の相棒である、副部長の啓佑とも前向きな話ができた。
来週には部会を開いて、今年度やろうと思っている「移住者ミーティング」や、現状の空き家を把握するためのマップ、それを各町内で部員と町内会長がしっかりと把握する事。そんな事を話す予定。
自治区の部長は、僅かだけど報酬が出ている。それもありがたいこと。
真面目に頑張ろうと思う。
