山と向き合う

炭やきの僕と、木こりの僕は入る山が違う。
炭の原木は天然林、木こりは人工林。
先週、福井の鋸谷さんの山を見せてもらう機会があった。今まで、いろんなところで人工林の話を聞き、管理や手入れについて学んできた。KOA森林塾も通った。人工林に関する本も読んだ。森林組合でも学んだ。僕なりに、僕のスタイルが少しづつ、できてきたように思う。鋸谷さんから教えていただいたことで、それがクッキリとしてきた。今まで学び、実際に間伐をしながら経験してきたこと。それは現場ごとに違うけれど、あえて数値で示すなら1haあたり3000本植えられたスギ・ヒノキについては、最終的に(植えられて80年くらいで)、半分まで減らすことだ。樹冠を見て、葉っぱと空が半分見えるくらいに間伐する(樹冠占有率を50%にする)。
すると、相対幹距比は20に近づき、胸高直径断面積合計は1haあたり、30~40㎡に近づく。数値的な裏付けを持って、山主さんに間伐によるグランドデザインを提案する必要がある。何本伐ったら、何年後にこれくらいになる。それを具体的に示すのだ。
それで大切な山を任せてもらう。そして、責任を持って仕事する。伐った木は基本的に全ていただく。
どの木を伐るのか?それを選ぶときには感性を優先させる。まず生枝が多く、元気な木を残す。それ以外の木から伐る木を決めてゆく。僕の本当に一番大切な仕事は、木を伐って儲けることではない。
人間の勝手で植えられ、現状こうなってしまった山や森。少しでも、それを元に戻したい。人が植えた木々を伐ることで、母なる地球を救いたい。その一心だ。だから、僕の手では伐らない木もある。いい木は次の世代に残すんだ。次の世代、またはその次の世代の子孫たちが考え、決めること。僕たちには、それを残してやることしかできない。
適正に間伐をしたら、後は母なる地球に委ねる。その森が正常な状態に戻るのに、70年以上かかるだろう。人が植えた木々が占有する空を半分空けたら、後は自然淘汰される。
僕はその光景を見ることはできない。でも、それでいい。
自分で見られない覚悟はとっくにできている。
僕たちのじいちゃんたちが植えて、親父たちが止むに止まれず手入れを放棄し、それを僕たちが手入れし、次の世代が使うんだ。
子孫のために、僕たちの世代は残すと決めた木を伐らず、伐るべき木を伐ることに専念する。それが役目だから。
僕たちが伐る木は、お世辞にも「いい木」とは言えない。いわゆる小径木だったり、曲がり木だったり。そんな木だって、誰かが想いを込めて植えた木。
旬・新月期・葉枯らし・丁寧な製材に拘って、真面目に仕事して、それで食わせてもらう。
僕は山の恵みで生かされているということだ。生き物を相手にするのだから、生きている木の命を絶つのだから、タイミングと方法には気を使う。それが母なる地球と、父なる宇宙(そら)の動きを感じながらの木こりなんだ。
自分勝手に植えてしまった人間側の責任なんだ。活発な夏の間の活動期を過ぎ、静かな冬支度を始めた頃に始まり、暖かくなって活動期の準備を始める頃まで。それが伐り旬。
生き物たちのバイオリズムは、月の重力と密接な関係にある。新月の頃、その営みは静かな下降ピークを迎える。そのタイミングで伐る。
すると、木の中のでんぷんが少ないので、腐りにくく割れにくい材になる。
伐った木は、枝葉をつけたまま、森の中に数ヶ月置く。その木が生きてきた森で、蒸散作用によって静かに、次の役目を担うために乾きながら、枯れながら、しかし決して死んでしまうのでなく、変化してゆく。それが葉枯らし。
その木々を、その木の年輪を見ながら、木を楽にさせてあげるようなラインで挽く。それが、誰かの「命の箱」になる。何世代も使えるような「命の箱」に。
一生懸命生きてきた木々に、次の命を吹き込むような、僕はそんな仕事をしたい。木挽きも炭もそうだ。自慢話でも何でもなく、これが僕の生き様みたいなモノ。儲からず、愚鈍で、汚れた作業着に、孤独な作業。けれど、名も無き山の神と、お天道様に見守られて、誰に何と言われようと、これを続ける。
僕の手の届く範囲で、小さなことを積み重ねることしかできない。「まだ見ぬ子孫のために」

それだけはハッキリと言える。カッコ悪くても、薄汚れた服を着ていても、金はなくても、充実している毎日と、未来への希望。「まだ間に合う」そう信じて・・・・ノートに書くことはくどくて長い文章です。誰かが共感してくれたら嬉しい。誰も共感してくれなくても、これを書くことによって、僕の覚悟が深まります。ブログとも連動させています。読んでくださり、ありがとうございました。

理想的な人工林の姿。加子母の森です。
理想的な人工林。加子母の森です。

投稿者: 炭やき人

北三河木こり人、北三河炭やき人、北三河木挽き人

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