大切な道具 カンブチ

昨日、ちょっと無理して東栄町から1車(やはり積載ギリギリ)運んだ。超強力な助っ人がいてくれて助かった。それでも、今朝、腰がヤバい。雨降りでもあるし、事務仕事して、そう言えばこの前山で、カンブチの刃沓(オレンジ色の刃をカバーするもの)を失くしてたこと思い出して、作り始めて、あまりに寒くてストーブ出して、ぬくぬくしながら作った。割打と書いて、「カンブチ」と読むこの道具。随分長い間、絶えず持ち歩いている。そろそろ柄を挿げ替えたい。両刃の小型斧で、これで枝払ったり、藪漕ぎしたり、木を削ったり、何でも使える。ちゃんと研いであるので、紙もすっと切れる。峰(背)には焼き入れがしてあって、玄翁の代わりに使える。山では矢を打つ時に使う。だから、「割って」「打つ」と書く。そして、この道具の最も大切な意味。それが、3本と4本の線だ。3本は「酒」「米」「塩」」を表す。つまり、神様へのお供えだ。山仕事に毎日、お供えを持って上がるのは大変だ(つまり、山に入ったら毎日、山の神に祈りを捧げるということなんだけど)。だから、必ず持ち歩く道具にそれを刻む。僕のカンブチは、弘法様で生を入れてもらっている。だから、これはお供えの代わりになる。この3本を伐る木に向けて、手を合わせる。それが山の神に対する礼儀だと思っている。4本の線は、「火」「風」「水」「土」を表す。「火」は、「日」。父なる太陽の光の事だ。「風」は空気。「水」はそのまま「水」。「土」は大地。母なる地球の事だ。この世を司る神だ。特に、木が育つ為に必要な神々なんだ。その「神」を、道具に刻む。これは、日本人の山岳信仰に通ずる。それを持ち歩き、絶えず「山の神」の存在を意識することが、山仕事を生業としている者たちを護ってきたはずだ。僕もその端くれとして、この「カンブチ」を持ち歩く。刃のあご部分は、自分で削ってこの形にした。これは、木を引っ掛けて動かす時に使う。重い木は鷹の爪や鳶口を使うけど、ちょっとした物を引っ掛けて動かすのに都合がいい。いつも身近に置いてある道具で、無いと落ち着かない。刃を保護しておかないと、切れなくなるから。鞘や刃をカバーするものは、それで誤って怪我をすることを防ぐ為というよりも、刃を傷めないようにする為だ。刃に金属が当たれば、当然刃こぼれする。それを防ぐ為だ。

投稿者: 炭やき人

北三河木こり人、北三河炭やき人、北三河木挽き人

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