一日工場で納期のある仕事を黙々と。休憩時間は、焚火でお湯を沸かして、粗目に挽いた豆でパーコレーターコーヒー。こんな毎日、当たり前の事なんだけど、考えてみれば豊かな事なんだ。
世の中、SDGsってうるさい。
「杉野さんの仕事はまさしく、SDGsですね!」と目をキラキラさせて言われても、僕にはピンと来ない。
地球環境が良くなればいいと、それは本気で想うけど、僕の目標はそこではない。もっと足元の、もっと身近な、もっと自分本位の目標なんだ。
僕のような当たり前のおっさんが、当たり前に仕事を続けてゆけば、それは地球環境を良くすることに繋がると考える。僕は、やりたいことをやっているだけ。誰かのためとか、地球のためとか、それは結果的にそうなればいいと思うに過ぎない。
来年還暦を迎える僕が望む事、それは「頑固だが楽天的なジジイ」になること。せめて、自分の周りの森が良くなること。毎日山の懐で眠り、目覚め、木を伐り、木を挽き、窯を焚く暮らしを続けられること。
昼休みで家に帰って、窓から見える景色にハッとした。何でもない、里山の風景。田んぼの向こう側に低い山があって、斜面には針葉樹、広葉樹が混ざった里山が広がってる。この景色を、自分が暮らす場所から毎日眺められること。これこそが、僕の望んだ生き方なんだ。
つくづく、幸せ者だと思う。
雨がそぼ降る田舎なんだけど、とても豊かな時間が流れている。