いろいろな情報が飛び交い、何が正しいのかわからなくなる。
いろいろな人が無責任に口を挟み、どこへ行ったらいいのかわからなくなる。
誰もが、自信たっぷりなのに、いざとなれば無責任に逃げる。
そんな回りの流れに抗ってでも、僕は自分の考えている事をやり遂げたい。
誰かの評価を気にしながら動き回る事だけはしないと決めている。
僕が行きたい場所に辿り着くには時間がかかるし、稼ぎも必要になる。
はしゃがず、真っ当に、目立たず、少しずつ、しかし確実に。
我が師杉浦銀治は「捨石になれ」と言う。
銀治先生の師である岸本先生の言葉には、「功を譲れ」とある。
僕にはまだまだ先のようだ。そうなれるように意識はしているし、そんな男に憧れているけれど、今の僕は、目の当たりにする下品な人たちと真っ向からぶつかってしまう。人の手柄を横取りしておいて、自分だけを売り込んで、下品に高笑いする奴の姿に、腹を立てている。
もっと自分を磨き、大きな男になって、奴らに功を譲れるようになるのだろうか?
僕の望みは、名も無き水守人だ。どこにでもいる山守人だ。
山の先輩たちの知恵を学び、それを自分のモノとして腹に落とし、身体に刻み込み、仕事を手で考えられるようになれたら、それを誰かに伝える事。
自分が何かできる事が偉いのではない。他人より優れているからと、自慢したところで子孫には続いていかない。愚直に自分の仕事をやり遂げる事。徹底的な自己評価を繰り返し、ただひらすらに仕事をこなす山男たち。
そんな当たり前の山男になりたくて、今日も明日ももがき続ける。
