午前1時。工場に来てる。昨日から窯を焚いてるので、初日はこうして夜中にも薪をくべに来るんだ。
見上げると、同じ位置に同じ星。南の山の上には冬のダイアモンド、北には北斗七星からの春の大曲線。
月は昨日と位置を変え、ほんの少し欠けている。
星の位置も、正確には同じ時刻に同じ位置には無い。
いつも思うんだけど、日々のこの、僅かな変化を愛おしむような、儚く消えゆくものを大切にするような、そんな生き方をしたい。
それを感じるのは、それぞれの感性。街に居ても、山で暮らしていても同じはずだ。
夜中に、まるで生き物のような窯と対峙していると、ついつい理屈を捏ねたくなる。
そう言えば今日も誰とも会っていないし、話もしていない。
窯から出した炭は、ちょうどいい長さ(基本は7センチ)にカットして、袋か箱に詰める。それでようやく、お金に替わる訳だ。今日は朝からずっと炭を切っていた。
固定した丸鋸で炭を切るんだけど、もう面白い程真っ黒になる。例えれば、ドリフの爆発コントみたいだ。当然、その顔ではコンビニにも行けない。
鏡を見ると、自分でも笑ってしまう。でも、そんな真っ黒な顔になっていても、むしろ誇らしいというか、これが炭やき職人の顔なんだと思う。