向かい風

この三か月、二度の怪我で仕事のスケジュールが大幅に変わり、段取りが狂い、結局やることは変わらないので、痛みを堪えて無理する事になった。我ながら還暦を過ぎてからの、異常な暑さの中で、この状況をよく乗り切ったと思う。それでも、次の現場は始まっている。先週から伐採を始めている。相棒は絶対的な信頼を置いてる中條(ちゅうじょう)さん。彼は40代前半でバリバリの現役庭師(僕と組むようになってからは、木こり寄りの庭師だけど)。樹上仕事を積極的にこなしてくれる。仕事は僕が請けているけど、彼の立場は僕と対等。年齢を超えて、お互いをリスペクトしている。従業員ではなく、外注の職人さんという立場。

作業手順などの提案は全てきちんと聞くし、特に安全に関しては徹底的に議論する。最終的には僕が判断するんだけど、一度決めた事は黙って従ってくれる。時間も仕事の態度も真面目。特に安全に関する意識が近い事、お互い個人事業主として、もはやケチと思われるくらいに経費を使わないようにしているけど、道具に関してはちゃんとしたモノを買うところが似てる。

彼がいてくれる事が前提で今回の現場も請けられた。

春から請けていた伐採・製材仕事も先週ようやく、キリがついた。8月に10針縫った怪我をした現場も、施主の暖かい配慮で延期してもらって、先週残りをやっつけてきた。指の怪我もちょうど、現場が始まるタイミングで治療を終えられて良かった。本当に、怪我はしちゃいけない。身も心も収入も削られる。

そんな慌ただしい日々を過ごしていて、昨日の送迎で乗ったハイエースはスタッドレスに替わっていた。

もう11月。朝と夜はストーブも焚いてる。あと40日余りで今年も終わる。

動き続けているからこそ、日々はあっと言う間に過ぎ、正面から風を受けているような感覚だけど、これで立ち止まれば風は止み、寂しく感じるんだろうな。

若い頃のように、上へ昇るような日々はもう無くて、降りてゆく生き方を選んでいるつもりだけど、やっぱり立ち止まる訳にはいかない。忙しいくらいがちょうどいい。

投稿者: 炭やき人

北三河木こり人、北三河炭やき人、北三河木挽き人

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