本懐

今、多くの仕事を請けているけど、その中でも2件、すごく嬉しい仕事がある。

どちらの仕事も、伐採・葉枯らし・搬出・運搬・製材・配達 まで一貫して請けている。伐採は、伐り旬・新月期伐採に拘り、その先の葉枯らし・AD(天然乾燥)、丁寧な目切れ無し製材まで。決して大儲けはできないけれど、ちゃんと利益も出る。
どちらも、施主(リフォーム一件、新築一件)から直接依頼された。
どちらの現場も、完成は再来年。つまり、桟積みの天然乾燥する時間があるという事。

一件目は豊田市内。市街地で飲食系の店を経営されている施主。施主奥様の実家が中山間地にあって、住んでいない実家と、実家近くの山もある。そこをリフォームして、店を移転してくるにあたり、自分の家の山から床板、外壁板を伐り出して使いたいという依頼。物件から山までは数百m。大工さんは施主家の同じ集落内の人。

もう一件は、古くからの友人が頑張って生きている移住先で、その地の木を使い、その地の大工さんに依頼して、耕作放棄地を農地変更から地盤改良して、小さな平屋で、密度高い家を造る事になって、木は施主の上司の持山から伐り出す。家を建てる場所から、木が生きてきた場所まで数百m。

「タチキカラ」これが僕の会社の屋号だ。「立ち木から」が由来。

木こりであり、木挽きである僕の本懐だ。

それぞれに設計士さんが居て、僕は設計士さんから「木取り表」を渡される。
その表には、どんな部材で、どこに使い、幅、厚み、長さ、数量が記されている。

その表に記されているのは、仕上がり寸法だから、大工さんの仕上げ削り代、木が動く量などを考慮して、大きめ(1分~2分)に挽く。

それを踏まえて決めた材木サイズと数量、使う場所によって、一本の木からどこを使うか考える(元玉は節が無くて赤身が多いので床板、3番玉は節があってもいいので焼杉外壁用に など)。そして、それをまだ木が立っている状態から考察して、予備を見越して少し多めに、しかし無駄に伐採する事ないように考える。

現地では、「間伐」施業になるので、40年後の現場を想像しながら、伐る木を決めてゆく。搬出の段取りもある。多少、伐りにくくても出しやすい木を選ぶ。皆伐すれば楽だけど、山の未来を考えて、残す木は残す。
時には、立っている木を前に、大工さんと相談しながら決める。
これは、木こりと木挽きを両方やっている人間でないと判断できない領域。

「間伐」も「搬出」も、「県産材利用」も、補助金申請をする事になるので、施業計画もちゃんと作り、書類も作成する。

そして、施主に深く関わった「木」が、何十年にも渡って、「命の箱」として優しく、逞しく機能してゆく。

何て嬉しく、やりがいがあって、責任も重いけど、達成感もある仕事なんだろう。

新築の家に関しては、ユニック建前もやる予定。

炭やき・木こり・木挽き が本懐の僕だけど、あらためて思う。

「俺はこの仕事しかできないけれど、この仕事は俺にしかできない」

そして、

「誰とも闘わないけれど、誰にも負けない」と、気持ちも身体も強くないと最後まで持ち堪えられないくらいのハードな仕事。経費も多くかかるから、お金も使う。

こんな天職に巡り会えて幸せです。

投稿者: 炭やき人

北三河木こり人、北三河炭やき人、北三河木挽き人

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